About this Program

プログラムについて

なぜ水素なのか

気候変動の深刻な影響とそれが人類に及ぼすリスクは広く認識されており,カーボンニュートラルに向けたエネルギーシステムの抜本的な転換が急務となっています。脱化石燃料を実現するためには,再生可能な風力・太陽光エネルギーの大きなポテンシャルを最大限に活用しなければなりません。

しかし,これら断続的な再生可能エネルギー源を広く普及させるには,長距離輸送や長期貯蔵を可能にする手段が必要であり,その点で水素は極めて有望です。水素は高い効率で製造でき,さまざまな用途に対応できる化学エネルギーキャリアとして卓越した汎用性を持っています。発電,産業・建築用熱供給,輸送用燃料など,多様な分野でのオンデマンドなエネルギー利用が可能です。

地球規模の社会経済的観点から見ると,再生可能電力を用いた水電解や,バイオマスガス化による水素製造は,それぞれの地域が持つ固有のエネルギー資源とニーズに応えられる経済的機会を生み出します。

水素の製造から利用に至るライフサイクル全体には,依然として多くの課題と未解明の科学的問いが存在します。水電解による水素製造と燃料電池での利用には低コストかつ安定した高活性触媒が必要であり,非極端条件下での体積密度の低さが水素の貯蔵・輸送を困難にしています。また,水素燃焼は固有の火炎不安定性を示すため,既存の燃焼デバイスへの適用が難しいという課題もあります。

これらの課題に対処するためには,水素製造,輸送・貯蔵,熱化学的・電気化学的利用の各研究領域における科学的詳細を,その相互関係を踏まえながら探求する基礎研究が不可欠です。本プログラム(国際研究トレーニンググループ)は,こうした側面を包括的に取り上げることで,再生可能エネルギーキャリアとしての水素の普及を推進し,社会に対して有意義なインパクトをもたらすことを目指しています。

プログラムの目的と目標

本プログラムは,以下の2つの主要な目的のもとで構成されています。

RWTHアーヘン大学と東京科学大学は,電気触媒,膜技術,燃焼などの基礎研究から,電気化学的・熱化学的応用などのシステムスケールに至るまで,世界トップレベルの研究環境と学際的なコンピテンシーを共同で提供できる理想的なパートナーです。

本プログラムは,ドイツと日本の双方において,エンジニア・自然科学者・社会科学者からなる若手研究者を,エネルギー転換に向けた国内外のプログラムを牽引できる人材として育成する初めての本格的な取り組みです。水素は,地域の条件によって異なる解決策を要する一方で,世界規模の相互依存と国際的な連携が不可欠なグローバルなテーマです。すべての若手研究者が2つの異なる経済圏に触れられることは,本プログラムが提供する大きな付加価値の一つです。

プログラムの構成

HyPotentialは,以下の研究領域(Research Areas)から構成されています。それぞれ独立した研究課題を持ちながら,システム全体の中での役割と相互関係を重視した設計になっています。

参加機関

本プログラムは,日独双方の卓越した研究大学が連携して運営しています。

本プログラムはドイツ研究振興協会(DFG)および日本学術振興会(JSPS)の支援のもとで運営されています。